愛媛大大学院医学系研究科の田中景子助教らの共同研究チームはこのほど、妊娠中に母親が喫煙や職場で受動喫煙をした幼児は、かんしゃくを起こしたり集中力に欠けたりする割合が高くなる可能性があるとする研究成果をまとめた。田中助教によると、出生前後に喫煙にさらされた環境と子どもの行動的問題の関連についての疫学研究は日本で初めて。オランダの学術誌に発表した。
 研究チームは2007年から、九州・沖縄の母子を対象に食事や生活習慣などの追跡調査を実施。1200組を対象に、妊婦と出生後1歳までの子どもの喫煙・受動喫煙が、5歳時での行動的問題に関連するか分析した。
 田中助教によると、妊娠中に喫煙していた母親の子どもは、非喫煙者と比べ、よくかんしゃくを起こす▽他の子をいじめる▽うそをつく―などの行為問題がある割合が93%増加した。気が散りやすく集中できない▽長い間じっとしていられない―など多動問題は89%多く、母親が職場で受動喫煙していた場合は、それぞれ54%、69%増えたという。妊婦の家庭内での受動喫煙との有意な関連性は認められなかった。
 田中助教は「受動喫煙した場所まで分析した研究は初めて。家庭より職場の方が喫煙者が多いため影響を受けやすいなどの要因があるのかもしれない」と説明している。